オーナーインタビュー | 【デザイン&ブランディング】名古屋、新潟のデザイン会社コムデザインラボ / 空間ブランディング・店舗デザイン

日向市原産の“晴れやかな柑橘”株式会社K&Co.日向へべす インタビュー

株式会社K&Co. 日向へべす
No.09

株式会社K&Co.
(日向へべす)

Hebesu brand company in Mie

一度食べたら忘れられない香りと酸味。
「へべす」は、宮崎県のごく限られた地域で
育まれてきた、知る人ぞ知る“幻の柑橘”です。

そんなへべすのおいしさに惚れ込んだ二人が
「この素晴らしさを、多くの人に届けたい」と
まだ誰にも知られていなかった果実を信じて
生産地から遠く離れた地で、ブランドを立ち上げました。

でも、その船出は決して順風満帆ではありませんでした。
マルシェで商品を並べても、誰も足を止めてくれない。
資金は尽き、夢も揺らぎ、経営の綱は切れかけました。

それでも「いいものは、ちゃんと伝えれば届く」。
そう信じ続けて5年。「日向へべす」は、
マルシェでも毎回完売するほどの人気ブランドに成長し
「BRAND MANAGEMENT AWARD 2024」大賞を受賞。

手のひらに乗るほどの小さな柑橘が
叶えてくれた大きな希望と、未来への道しるべ。
夫婦二人がへべすとともに歩んできたストーリーです。

2025.4.22

話し手
owner
話し手
株式会社K&Co.
(日向へべす)
川橋 伸一郎・田香子 夫妻
伸一郎さんは大阪、田香子さんは宮崎出身。田香子さんは2011年「日向のへべす大使第一号」、その後宮崎県の「みやざき大使」に任命。2019年に、へべすのブランド化と普及を目的とした「株式会社K&Co.」を設立。へべすを使用した商品の開発や販売を行う。2024年、へべすのプロジェクトが「BRAND MANAGEMENT AWARD 2024」大賞を受賞。
2025年7月に円頓寺商店街に店舗をオープン。
聞き手
interviewer
聞き手
コピーライター
後藤 麻衣子
コピーライター/編集者。2015年に工業デザイナーの夫とデザイン事務所「株式会社COMULA」をスタート。2020年に俳句専用文具ブランド「句具」を立ち上げ、商品企画以外にも句会やアンソロジーの出版など、俳句の文化推進にも注力。 受賞歴に「第15回 北斗賞」佳作、「全国俳誌協会 第4回新人賞」特別賞ほか。名古屋芸術大学 非常勤講師、東海国立大学機構「Common Nexus」アンバサダー。
# 09-8

「ハレのひむか」から描く、文化としてのへべす

ハレのひむか
ちょうど商店街のメインストリートからこの道に入ったときに、5つのランプが目に入ってきました。

工事中から、Instagram見ながら「かわいい!」って気になってました!
これ、すっごくかわいいですよね!それぞれの商品が売り切れるとランプが消えるんですよ。
まさか最初はあの案がこんなふうになるとは思ってなくて。すごくいいシンボルになってると思います。
ハレのひむか
ハレのひむか
ランプのスイッチをつける様子
最初は「鯖寿司があるかどうかが分かるようにしたい」と、高木さんにお願いしただけだったんです。
発案は、田香子さんだったんですね。
きっかけは、昔、母と一緒によく観ていた『タンポポ』という昭和の映画に、ラーメン屋さんが店頭に黄色い旗を上げて「売り切れ」を知らせるシーンがあって。 なぜだかそれがずっと頭に残っていたんです。

いつか自分たちもお店を持ったら、ああいう“合図”をやってみたいなって。
それを高木さんに話したら、「鯖寿司だけでいいんですか?」って言われて。
そう、そこからのアイデアで、今のランプに発展したんです。まさに令和版の旗ですね(笑)。100倍素敵になって、夢が叶いました!
実際に「外から見て『あ、もう売り切れてるんだ』って分かる」と言ってくださるお客様もいますし。
ハレのひむか
このギミックを知っている方が、友達に「これ知ってる?売り切れるとランプが消えるんだよ」って歩きながら話しているのを見かけると、とても嬉しくなります。

ひとつのシンボルになっていくのを実感しています。
そのほかにも、「ここがお気に入り」という場所はありますか。
全部気に入ってるんですけど…あえて言うなら「柑橘 on 寿司」と書かれた書の看板ですかね。 プロの書道家さんに書き下ろしていただいたものなんです。
私はこの「お品書き」
これも、売り切れたら裏返すんですが、この透明のパネルの質感も好きだし、これがあることで商品が何倍もよく見える。

なにより「裏返す瞬間」が最高に気持ちいいんですよ!
ハレのひむか
なるほど、それは達成感がありますね。
そう、「やったー!」って思うんです。今日は3つ、4つ裏返せたぞ、って。 そういう小さな積み重ねが毎日の励みにもなっています。

そのほかにも、おもての装飾やドリンクサーバー、特別感のあるメンバーズカード、へべすのショーケースなど、お気に入りポイントはたくさんあります。
ハレのひむか
へべすのショーケースとドリンクサーバー
店名「ハレのひむか」は、どのように決めたんですか。
これ、お客様からもよく聞かれるんですよ。 ブランドを立ち上げたときに、高木さんから「晴れやかな柑橘」とか「ハレの日ダックワーズ」を提案してもらっていて、それがずっと気に入っていて。

だから「お店を持つなら、“ハレ”という言葉は絶対に入れたい」と思っていました。

それで僕がいろいろ考えている中に「ハレのひむか」という名前を思いついて、田香子さんと高木さんに言ったら、すごくいい反応だったので。 もしも微妙な顔をされたらやめようと思っていたんですが(笑)。
「ひむか」は宮崎を指す言葉ですし、響きもかわいいし。

改めて「日に向かう」って、すごく縁起がいいよね。土地への思いも込められる。
ハレのひむか
店名が決まってから、ロゴもA案とB案の2案提案してもらって…。
提案いただいたその場で、二人で「せーの!」で選んだら、ぴったり同じA案を指していて。
あとから高木さんに「あれって、もう最初からこっちの案に誘導したい、とか考えて置いてるんですか?」って聞いてみたんやけど、「いやいや、全然そんなことないですよ」って(笑)。
むしろ高木さんは、「なんならB案が選ばれると思ってた」って言ってたよね(笑)。もちろんB案も良かったけど。
このロゴを選んだ「決め手」も教えてもらっていいですか。
もう一方のB案は、赤を基調にした可愛いデザインで、ギフト用にはすごく合っていたんです。高級感もあって。

ただ、やっぱり僕らのブランドにとって「黄金へべす鯖寿司」が大きな突破口になったのは紛れもない事実で。

そのゲートが開いた感覚を思い出させるような、青を基調とした方がしっくりきました。直感的に「こっちだな」と。
ハレのひむか
元々の「日向へべす」のロゴと並べたときのバランスもありましたし、「八」をモチーフにしているのもすごくよかった!

名古屋の地で根を張ってへべすを広めていく、という私たちの思いと重なるというか…。
真ん中のへべすが、日の出のように上がっていくイメージもあって。
そうそう。
名古屋の「八」が、山になってるんだよね。 「このロゴに、私たちの思いが全部入ってる!」って、感動しました。
それに、自分たちで決めた「ハレのひむか」という店名も、文字だけのときは「本当にこれでいいのかな」と少し不安だったんです。 でもロゴデザインに起こしてもらった瞬間に「これだ!」と確信できた。
そう、やっぱりデザインが整うと、ただの文字列やアイデアじゃなくて、「自分たちのものだ」「これから一緒に育てていこう」って思えるよね。
愛着が湧いていく、一番最初のスタートラインなのかもしれませんね。
本当にそう思います。
それは私たちだけじゃなくて、お客様もそうなんです。

リピーターさんとかが、店名とかロゴの意味とかも深く聞いてくださったりして。 そこでも私たちの思いに共感してくださると、きっとますますファンになっていただけるんだなあ、と。
そういうやりとりが繰り返されることで、お客様との距離も近づいて、愛着がどんどん強くなっていくんやと思います。
まだ1号店がオープンしたばかりですが、次の構想はありますか。
やっぱりスイーツだけのお店もやりたいですし、実際に食べてもらえる場所、提供できるレストランのような形も考えています。

いずれは自社の工場も持ちたい。夢はどんどん広がりますね。
スイーツ専門のお店の構想も、実は前からあったんです。
ハレのひむか
ただ、いきなりスイーツにしてしまうと、「かき氷が美味しい」とか「甘いものが食べたい」という動機が先行してしまう。

へべすを食べてもらえるのは嬉しいけれど、私たちが本当に伝えたいこととずれてしまうんじゃないかという不安があって。

だからまずは「へべすそのものの美味しさ」を知っていただくところから始めようと思い、今の店をつくりました。
となると、次の構想は飲食店?
そうですね、それもあります。
いちばんの夢は、「へべすの複合施設」です。 ひとつの小さな村のような? へべすタウンみたいな! へべすをモチーフにしたお店がぎゅっと集まっている、大きなコンセプトショップをつくりたい。

三重の「VISON」とか、滋賀の「ラ コリーナ」のような、へべすを体験できる“食のテーマパーク”を思い描いています。

そこにはもちろん食事ができる場所もあって、いろんな買い物もできて、体験もできる。加工場に入ると、へべすの香りがふわっと漂うような…。
夢はどんどん膨らみますね。
ハレのひむか
そこにへべす神社をつくって、結婚式ができる広場を設けて。 苗木を植える結婚式なんていうのも素敵じゃないですか。

実際に宮崎の日向市では、結婚する際にへべすの苗木を贈るという風習があるんです。 それをもう一度復活させたい。
「ラ コリーナ」には、どんぐりプロジェクトもあるよね。
そうそう。
近江八幡で拾ったどんぐりを苗木にして植樹する、森づくりの活動。 もう12年目を迎えるそうですが、うちもへべすの苗木をそこに植えて、森をつくって。 みんなで「へべす狩り体験」ができるようにしたい!

決して既存の施設を真似したいわけじゃないんですけど(笑)、私たちも私たちらしく、「へべす」というキーワードで、本当の魅力を奥深く体験できる場所をつくりたいと思っています。

そしてそれを地域に還元しながら、ひとつの新しい文化を育てていけたら理想です。
この構想もただの夢物語ではなく、今もほんの少しずつ動いてはいるんですが、今のお店のオープンと並行して走らせるのはなかなか大変で。

でも、やれることから少しずつ、チャンスがあれば前に進めていきたいですね。
今は「ハレのひむか」がオープンしてようやく動き出したけれど、ここがゴールじゃなくて、ここがスタート。

ようやくスタートラインに立てただけなんです。 これまで必要な種まきをずっとしてきて、やっとここまで来られた!という感覚です。
そう、このお店はこれから始まる壮大なプロジェクトの第一歩です。

まずは目の前のお客様一人ひとりに、もっとへべすを知っていただけるように頑張りたいね。
“へべすから広がる”、まだ誰も知らない未来を、いろんな仲間と、お客様と、みんなでこの場所から一緒に育てていきたいです。
ハレのひむか
WORKS
  • 株式会社K&Co. 日向へべす
  • 株式会社K&Co. 日向へべす
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株式会社K&Co.日向へべす
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