名古屋・東京の空間ブランディング・店舗デザイン事務所 コムデザインラボ

愛知県安城市のケーキ屋 パティスリーしあわせのえき インタビュー1話

パティスリーしあわせのえき
No.01

パティスリー しあわせのえき

Pâtisserie in Sakurai Anjo

甘い香りに包まれた、特別な「駅」
ここで売っているのは しあわせ行きの、“おいしい片道切符”です

「しあわせのえき」オーナーパティシエ 小島 悠さんが手掛けるのは
フレッシュな素材を取り入れた優しい味わいのケーキたち

口に運び、目を閉じた瞬間に “しあわせ”へ向かう線路がふっと現れ
心地良い汽笛の音に誘われるままどこかへたどり着く…
そんな、不思議な感覚をおしえてくれます

本当のしあわせは日常のすぐそばにあるということを
ショーケースの中で輝きを放つ
“片道切符”たちが、教えてくれるのです

そしてこちらのお店、
実はコムデザインラボが初めてつくったパティスリー

小島さんの思いをこの「駅」に、ぎゅっと詰め込みました

2014.06.13

話し手
owner
話し手
パティスリーしあわせのえき
小島 悠・峰子 夫妻
安城市出身・在住。専門学校を卒業後、神奈川県の「湘南ガトーアベニュー 葦」に入社。全国各地の名店で修行し、27歳で渡仏。ル・コルトンブルーパリ校を首席で卒業後、フォション、ホテルクリヨン、アルザスの老舗で腕を磨く。2009年、フランス「アルパジョンコンクール」優勝。
聞き手
interviewer
聞き手
ライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するフリーライター。情報誌の編集などを7年経験したのち、27歳でフリーに。インタビューをしている時と、おいしいものを食べている時に、この上ない幸せを感じる。よく言われる言葉は「おいしそうに食べるね」。食と旅をこよなく愛する31歳。趣味は、俳句とギター。
#01-1

フランスで見つけてきた、理想の店の“かけら”たち。

「しあわせのえき」、すてきなお店ですね。
ありがとうございます。
よく女性のお客さんが、お店やケーキを見て、
「かわいいー!」とひとしきり褒めてくれたあと、
「オーナーさんは女の人ですか?」って言われるんです。
その度に「期待を裏切ってごめんなさい」と思ってます(笑)
それだけ、女性の心をつかんでるってことですよ。
だといいんですけどね。
僕としてはうれしい反応ではありますが、がっかりさせちゃうといけないんで
僕はキッチンから出ないようにしてます(笑)。
店の中に、電車が走ってるなんて、おもしろいですね!
そうなんです。
電車が走ってるケーキ屋なんて、なかなかないですよね。
素敵です。
たまに汽笛の音が聴こえてきて、なんだか和みます。
うるさくないですか?
大丈夫ですよ。
むしろ、心地良い音だと思います。
それなら良かった。
小さなお子さんは、「でんしゃがはしってるー!」って喜んでくれるから、
そのたびに僕も嬉しくなります。
「店内に電車を走らせたい」というのは、初めから決めていたので。
そうだったんですね。
「しあわせのえき」という店名にもぴったり。
実は、開店の直前まで、店名は「La Gare du BONHEUR」だったんです。
「しあわせのえき」っていう日本語の店名は、どこにも使われていなくて。
え、そうなんですか?
でも、フランス語は読みにくいし覚えにくいからってことで、
結局、オープンぎりぎりになってから、「しあわせのえき」にしたんです。
今思うと、「しあわせのえき」のほうが親しみやすいし、日本語にしてよかったですね。
この方が、お客さんとの距離も、ぐっと近づけると感じています。
私もこのお店の名前、大好きです。
お店は、6月に2周年を迎えられたんですよね。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
2年…。
過ぎてみるとあっという間ですね。
小島さんはいつからこの世界へ?
19歳の時、神奈川の湘南にある
「湘南ガトーアベニュー葦」という店で働き出したのがきっかけです。
その店で、心から尊敬できるお師匠さんに出会うことができました。
今考えても、やっぱり僕のケーキ作りのルーツになっているのは、
その店で勉強したことなんですよね。

あっ、ケーキ屋にいるのに何も食べずに話すのも寂しいんで、
ショーケースの中から好きなケーキ選んでください。
え!
いいんですか?
どうぞどうぞ。
じゃあ…。
私、サクランボが大好きなので、佐藤錦のタルトにします。
ありがとうございます!

(楽しみ!)

では、気を取り直して、質問に戻ります。
神奈川のお店のあとは、どちらへ?
専門学生の時に、半年間だけフランスへ行ってたんです。
それがとても楽しくて、たった半年だったけど、本当に刺激的で。
「もう一度フランスで基礎から学び直したい」と思って、
27歳でフランスへ渡りました。

名古屋で成功している有名なパティシエはみんな、
「ル・コルトンブルーを首席で卒業」
ってのがプロフィールにくっついてるんで、
力試しのつもりで僕もそこに入りました。
で、小島さんも見事、首席で卒業?
あ、はい。
わっ、すごいっ!
やっぱり腕のある人は違いますね~。さすがです。
いえいえ、そんなことないです。
今まで知らなかったこともたくさん学べて、身に付くことも多くて。
いいタイミングでフランスへ行けたと思います。
でも、今思い返すと、やっぱりフランスにいた時かな。
「自分の店を持つ」という夢みたいなものが、どんどん現実味を帯びてきたのは。
フランスに行ったのを機に、目の前の道が拓けてきたという感覚です。
そのうち、じわじわと「どんなお店にしたいか」というのを考えるようになりました。
なるほど。フランスのケーキ屋や街並みから
インスピレーションを受けて、ということもありますかね。
街というより、僕はメトロですね。
メトロ?
パリのメトロが、毎日の僕らの足になるわけなんですが、
そのメトロの駅の雰囲気やカラフルな丸い看板を、いつも見ていました。
そうしたら、小学生の時に電車が好きだった頃の気持ちをふと思い出して。
メトロの駅の雰囲気とか、カラフルな看板とか、
「なんかいいな」って感じ始めたんですよね。
カラフルな丸が並んでいる感じが、マカロンみたいで可愛くて。
・・・・・ここで佐藤錦のタルトと
コーヒーが到着・・・・・
わあ、かわいい!
おいしそう…。
プロの人なら、食べながらインタビューできますよね。
思う存分食べながら、どうぞ。
お言葉に甘えて、インタビューの途中ですが、いただいちゃいます!
・・・・・早速いただく・・・・・
わ、おいしい!
これ、下のタルト生地は2層になってるんですか?
食感が違って楽しいですね。
そうなんです。
外側の生地の中には卵が入っていなくて、食感を楽しめるように仕上げています。
中には、カスタードクリームとアーモンドクリームが入ってます。
そして佐藤錦が甘いっ!
クリームの甘さとのバランスも絶妙です。
僕の仕入れの目がいいんじゃなくて、売ってくれる人の目がいいからです。
おいしいですよね、その佐藤錦。
本当にお言葉に甘えて、食べながら失礼します。
どうぞどうぞ。
で…。そうそう、メトロ。
メトロに乗りながら、
いろいろとインスピレーションが広がっていったという感じですか。
そう。地下鉄の駅に、メトロのグッズを売ってる店があって、
そこにもよく行ってたんです。
グッズ売り場にあったマグカップが気に入っていて。
フランスから日本へ帰る時も、
少ない荷物の中にマグカップもちゃんと入れて
日本に連れて帰ってきたほどです。
そうして、フランスで日々生活をしているうちに、
この「地下鉄」とか「電車」っていう要素を、
店に入れたら楽しいんじゃないかって考えるようになったんです。
なるほど。
その時はまだ、「いいな」と思うものを断片的に拾い集めている段階。
「こんなお店にしよう」という具体的なイメージに辿り着くまでは、
1年くらいかかりました。
考えているうちに、電車から「切符」というキーワードが出てきて。
「切符」。
そう。自分がつくるケーキは「しあわせ行きの切符」。
食べた人が“しあわせ”へたどりつく「切符」を売っている場所、
つまり「駅」がお店なんだ、って、腑に落ちて。
じわじわと、つくりたい店のコンセプトが、かたまってきたんです。
なるほど。素敵ですね!
それで、フランスから帰って来て
「よし、店作るぞ!」って感じですか?
いえいえ、フランスから帰ってきたときは、
東京のパティスリーで働こうと思ってました。
そんな時、声をかけてもらったのが、
栃木県のレストラン「Otowa restaurant」
「惣菜部門のケーキを作らないか?」というお誘いで、そこに就職しました。
シェフパティシエとして務め、いろいろと貴重な経験をさせてはいただいたんですが、
そのうちに「もっと自分の能力を発揮したい」と思うようになって。
自問自答を繰り返していた時に…。3・11。
東日本大震災…。
そう。震災もきっかけになり、
すぐに生まれ故郷である安城市へ帰ってきました。
「安城で、自分のお店を作ろう」と決意したのはその時です。
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