名古屋・東京の空間ブランディング・店舗デザイン事務所 コムデザインラボ

愛知県大府市の農家 橘萄園 インタビュー

No.08
橘萄園
Orchard in Obu
話し手
owner
話し手
橘萄園
伴 成貴さん
香川大学農学部で果樹栽培を専攻。2012年から3年間、長野県上田市「飯塚果樹園」で飯塚氏に師事し、植物形態・生理学や土壌肥料・微生物学など理論から、ロケット剪定や育種選抜・高接ぎなど最新の技術を習得。現在は希少種の栽培だけでなく育種なども行う。
聞き手
interviewer
聞き手
コピーライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するコピーライター・編集者。情報誌の編集・印刷媒体の企画を経験したのち独立。2015年には工業デザイナーの夫と、プロダクトデザイン事務所「株式会社COMULA」をスタート。自社オリジナルブランド「句具」を運営している。
#08-5

ぶどう屋とデザイン事務所は、
相性が良い?

2018年から現在まで、数年にわたるブランディング、
「デザイナーに仕事を頼む」ということ自体初めてだったとのことですが、

やってみて気づいたことや、考え方が変わったことなどはありましたか。
それはもう、いろいろありますが…。
そうそう、タカギさんって、お金の話をちゃんとしてくれるんですよ。
お金の話」。
そう。
どう売上につなげるか」という話を、とても丁寧にしてくれるんですよね。

たとえば、「ロゴも新しくなったし、せっかくなら袋も箱も一新した方がかっこいいですよね!」っていう表面的な話ではなくて。
Webサイトの開設やパッケージのリニューアルによって
「それが、どれだけの付加価値を生むのか」「どう売上UPにつながるのか」というところまで、
ちゃんと話してくれるんです。
なるほど!
ロゴを作るだけじゃ意味ないよ」って、ロゴをつくってるデザイナーさんが言うんですもん。
びっくりでしょ。
確かに(笑)。
でも、とても大事な、本質的なところですよね。
その大事なところを、僕はタカギさんに教えてもらいました。

確かに、いくら素敵なロゴがあっても、どこにも活用されていなければ意味がないし、
世界観が統一されてなかったら、宝の持ち腐れなんですよね。
さらに、ロゴがいろんなところに活用されていたとしても、
それが売上に繋がらなかったら意味がない。
「つくればいい」から、「どう使うか」へ、考えがシフトしていったんですね。
そうですね。
僕、「ぶどう屋」と「デザイナー」って、とても相性が良い組み合わせだと思うんですよ。
相性が良い、とは?
ぶどうは、品種によって色も形も違うし、種類がいろいろあるから、
表現の仕方で見え方が変わってくるんですよね。
パンフレットとかも、つくり甲斐があるというか。
確かに!
あと、さっきもお話した品種のブランディングとか、コムさんめちゃくちゃ上手だと思う。
品種をブランディングするなんて、すごく面白そうです。
ご当地ぶどうなんかもそうですが、今は行政も背中を押してくれる体制ですし。

ぶどう屋とデザイン事務所と行政と、あとは観光関連も…と、
いろんなところとタッグを組んで、なんか面白いことできそうだな、と。

今から巻き込む気マンマンです(笑)。
伴さんって、生粋の農家さんなのかと思ってましたけど、めちゃくちゃビジネスマンなんですね。
前職が、プレハブとかの不動産の会社で、僕は土地活用の営業をやってたんですよ。

「この土地に対して、これくらいの投資をするとこれくらい儲かる」みたいな話をいつもしてました。

だから、事業計画とか金儲けの話って、得意というか…
「どうやったら儲かるか」みたいな視点って、そのころに叩き込まれたんだと思うんです。
なるほど。
どんな職種でもそういう話やそういう視点って、面白いじゃないですか。
とてもわかります…!
自分の置かれた状況、持っている技術で、
「どんなことができるか」「育てて売る以外に、どんなことができそうか」を考えたときに、
農家って、できること結構あるじゃん!っていうのが、発見でした。
さっきの品種の商標を取る話もそうですよね。
はい。
農業の収益って、「自分の畑で自分が作った分だけ」なんですよね、どこまでいっても。

自分が持っている土地の面積が上限で、自分が働いた分以上収穫できることはなくて。

畑の面積そのままで、売上が倍になる年なんて、ないんです。
でも「種苗の商標を取る」って、もしかしたら自分が手がけたことの
10倍、100倍になる可能性を秘めてる
もちろん、簡単なことではないし、リスクもありますが。
そこまでがすごく大変ですけど、可能性は無限です。
そう。その波及効果が面白いな、と僕は思います。
それを考えられる、ということに、夢があるなあ、と。

だから、タカギさんがパートナーになってくれてよかったなと思うんです。
なるほど。
タカギさんと打ち合わせをしていると「考え方が似てるな」と思うことって多いんです。

さっきも話したように、「かっこよく、キレイに整えるためにやりましょう」じゃなく、
「こういうデザインにして、こっち方面にブランディングをしていくと、
こういう理由で売上が見込める」みたいな話を、ちゃんと理論的にしてくれるんです。
「作って終わり」じゃなく、その先を見据えて経費をかけていくことに、
「同じ考えを持っている人なんだな」という腹落ち感もありました。
その考え方が一致すると、話が早いですよね。
そのために、毎年毎年少しずつ手を入れながら、
「続けていくこと」が大事なんだな、ということも学びました。

コムさんにお願いしているデザイン関係もそうですけど、畑の設備も年々いろいろ手を入れつつ、
今動けるギリギリのところを攻めてきている感じです。
継続して進化していくって、すばらしいです。
それがあってかどうかはわかりませんが、お客さんの層も変わってきている気がします。
元々この辺りのぶどう屋のお客さんは年配の方が多くて、少しずつ減少傾向にあるんですが、
ここ数年で、同世代や若い方の来店がかなり増えたという実感があります。

年齢が下がると客単価は下がるんですが、
確実に未来へ繋がっていく新しいお客さんを開拓できていると実感しています。
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