名古屋・東京の空間ブランディング・店舗デザイン事務所 コムデザインラボ

愛知県大府市の農家 橘萄園 インタビュー

No.08
橘萄園
Orchard in Obu
話し手
owner
話し手
橘萄園
伴 成貴さん
香川大学農学部で果樹栽培を専攻。2012年から3年間、長野県上田市「飯塚果樹園」で飯塚氏に師事し、植物形態・生理学や土壌肥料・微生物学など理論から、ロケット剪定や育種選抜・高接ぎなど最新の技術を習得。現在は希少種の栽培だけでなく育種なども行う。
聞き手
interviewer
聞き手
コピーライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するコピーライター・編集者。情報誌の編集・印刷媒体の企画を経験したのち独立。2015年には工業デザイナーの夫と、プロダクトデザイン事務所「株式会社COMULA」をスタート。自社オリジナルブランド「句具」を運営している。
#08-3

この先50年、活躍し続ける
直売所にしたい

とてもおしゃれで、素敵な直売所ですね。
ありがとうございます。
よかったら、ジューススタンドのぶどうジュース、飲みませんか?
え!いいんですか?
嬉しいです。ありがとうございます。
・・・・・奥様がジュースを絞ってくれました・・・・・
本当に、生のぶどう100%なんですね。何粒くらい使うんですか?
ジュースによって違いますけど、結構入ってますよ。
小さめのぶどう一房分くらいかな。
そんなに!贅沢すぎますね〜。
・・・・・しぼりたてのジュースを
いただきます・・・・・
わあ、すごく濃厚ですね…!びっくりしました。甘い…!
私が知ってる「ぶどう100%ジュース」を完全に越えてきました…。
本当に生のぶどうを頬張ってるみたいな果実感と、
皮と実のあいだの心地よい渋みみたいなものが一緒になって。
とても甘くてジューシーで、美味しいです。

ほんとに、濃厚…。生のぶどうそのままですもんね。贅沢な一杯ですね。
ありがとうございます。喜んでもらえてよかったです。
そうそう、めちゃくちゃ濃いですよね。

濃すぎるから、氷が溶けたくらいがちょうどいいわ!
なんて言うお客さんもいらっしゃるくらいですよ(笑)。
2022年にオープンされた直売所とジューススタンドですが、
直売所を建てる構想は、以前からあったんですか?
直売所は、いつかは建てたいとずっと思ってました。

ロゴを提案してもらった2018年にも「いずれは直売所を建てたいんです。
10年先か15年先か、いつになるかわからないですけど」と話した記憶があります。
直売所ができる前は、どんな形態で直売をしてたんですか?
ハウスの一角にテーブル置いて、幟を立てて…という手作りの直売所でした。

シーズンは8〜9月なんですけど、真夏のハウスって、めちゃくちゃ暑いんですよ。

僕らもお客さんも汗だくになりながら、熱中症対策しながらの直売所運営でした(苦笑)。
それは大変…!
はい、大変でした(笑)。暑かったな〜。

撮影や打ち合わせに来てくれたタカギさんもマノさんも、みんな汗だくでしたね。

当時、「いつかは直売所を建てたい」とぼんやりとした構想はあったものの、
こんな立派なジューススタンド付きの店舗を考えていたわけではありませんでした
と言うと?
よく畑の隣に「直売所」って書いた建物あるじゃないですか。あんなイメージ。
そこに机を並べて…という、ありきたりな構想でした。
当時は祖父も元気でしたし、
「わしの目が黒いうちは、借金なんぞさせん!」という祖父でしたので、
直売所は、代替わりしてからゆっくり考えればいいかな?と、
まだ10年くらい先の話だと思っていたんですよね。
なるほど。ジューススタンドのアイデアはどこから?
ロゴをつくってブランディングを開始した翌年に、
富山県の「宮崎ぶどう園」直売所内にあるジューススタンドの存在を知りました。

出荷できないぶどうの活用としてもすごく可能性を感じて、
「うちもいつか、こういうジューススタンドをつくりたい!」と思い立ち、
「一緒に視察へ行きませんか?」とタカギさんを誘って、富山へ視察に行きました。
「直売所を建てるのは随分先だと思うけれど、とりあえず部分改修で
ジューススタンドだけ簡易的にやりましょうか!」と、設計を進めようとした矢先に…。
矢先に?
毎日ぶどう園で元気に働いていた祖父が、急逝してしまって。
そうだったんですか…。
急でしたね。
そうなんです。
祖父はまだあと10年は現役だと思っていたので、本当に急なことでした。
家中バタバタで、部分改修の話は一旦ストップしたんですが、
数ヶ月後、橘萄園の名義が正式に祖父から僕へ移ったことで
「ジューススタンドのための部分改修ではなく、
直売所の全面建て替えに踏み込んでもいいのかもしれない」と考え直したんです。
なるほど。
その秋の改修計画はとりあえずストップして、
本腰を入れて直売所を建てたいという話をタカギさんにしました。

まさか、こんなに早く直売所を建てるなんて思ってもみなかったですけど…。
それで、急遽直売所計画が動き出したんですね。
内心はドキドキでしたけどね。

でももうローンを組むことを止める人もいないし、あとは進むだけだ!と、
自分を奮い立たせました。

80代まで現役だった祖父の年齢まで自分もここを続けていくことを考えると、
まだあと50年もある。

この商売で生きていくのはもう決めたので、
「それなら、この先50年ずっと活躍し続ける直売所にしたい」という決意はありました。
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