名古屋・東京の空間ブランディング・店舗デザイン事務所 コムデザインラボ

愛知県大府市の農家 大府南いちごファーム インタビュー

No.07
大府南いちごファーム
Strawberry farm in Obu minami
話し手
owner
話し手
大府南いちごファーム
オーナー夫妻
大嶋 厚徳・優子
厚徳さんが40才のときに「何か起業したい」という思いで脱サラし、就農研修、大手いちご狩り園での修業を経て、2012年に「大府南いちごファーム」を開業。厚徳さんが主に栽培を、優子さんはいちご狩りの接客のほか、ファームオリジナルのゼリー作りも担当。
聞き手
interviewer
聞き手
ライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するコピーライター・編集者。情報誌の編集・印刷媒体の企画を経験したのち独立。2015年には工業デザイナーの夫と「株式会社COMULA」をスタートし、自社オリジナルブランド「句具」の運営も行う。いちごが大好きな3才と5才の男児の母。
#07-5

一歩目のきっかけをつくるための
ブランディング

今回のリブランディングでは、どんなところに手を入れましたか?
いちごバターなどの商品のブランディングに加えて、いちご園のロゴや、園の看板
園内のサインなどの空間全体のブランディング、あとはWebサイトのリニューアルなど、
全体をリニューアルしました。
統一感ができて、とても居心地が良くなったと思います。
お客様からも好評です。
当初から、全体的に手を入れる想定で?
いいえ。

当初は、いちごバターのパッケージだけお願いしようと思って依頼したんですが、タカギさんに「園のこだわりを、もっと出していった方がいいですよ!」って言われて、ハッとしました。

それで、いろいろまとめてお願いすることにしました。
手作り感のあるPOPとか、いまいち統一感のないデザインとか、
気になっていたんですが、どう手を入れていいかわからなかったので。

シールみたいな小さなものから、看板や園内のサインまでいろいろそろえてもらって、
とてもスマートな印象になりました。
建物が変わったわけではないので劇的な変化ではないですが、
雰囲気はとても変わった感じがしますし、完成してみると「私たちがつくりたかった空間ってこんな感じだなあ」という理想に近づいたイメージです。
こういうおもてなしの仕方もあるんだなあ、というのが発見でしたね。

もちろんいちごのおいしさや、お客様が喜ぶサービスもおもてなしですが、
居心地の良い空間をつくるというのも、満足度の向上につながると思います。
私たちの気持ちが、お客さんに伝わるような気がするんですよね。
自己満足かもしれないけれど、そういうのってとても大事だなと思います。
厚徳さん・優子さんの、今後の展望があれば教えてください。
農業の話じゃないですけどいいですか?
えっ!?(笑)気になります、ぜひ教えてください!
今ちょうど、画家の友人と一緒に、絵画教室を立ち上げようと動き出しています。
子どもたちがもっと絵を描くのが楽しくなるような、通いやすくて楽しい絵画教室にしたいな、と。

僕らは薄利でもいいから、とにかくたくさんの子どもたちや親さんに、喜んでもらいたい。
やっぱり厚徳さんの原動力は「誰かに喜んでもらいたい」なんですね。
そうかもしれません。
農業は、気ままな職業です。
毎日一生懸命やってますけど、もしかしたらもう少しサボっても、結果は一緒かもしれない。

でもそれでも手を抜くことなく、お客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら、日々真摯にいちごに向き合っていくことが、僕の幸せでもあります。
それでも手を抜かずにか向き合えることも、ひとつの才能だと思います。
今後、園を広くしたい、大きくしたいとか、そういう願望はあったりしますか?
いいえ、それは一切ないですね。
いちごの栽培については他人に任せず一人でやりたい、大きく広くするとかではなく、
自分の目の届くところで確実なものを提供したい、というのが大前提です。

今の面積が、一人でできる限界なので。
これからもたくさんのお客様が来てくれるように、また一度来てくださった方がもう一回来てくれるような園にしていきたい、というのが、いちご園の展望ですが、これは今までと同じです。

いろいろとやりたいことはあるんですが、まだ具現化はできていないです。
今はリニューアルしたばかりですし、来シーズンは「舞苺」もあるので、
まずはそれをしっかり定着させることでお客様の満足度をもっと上げていきたいと思っています。
ここ数年で6次産業化をこうして手がけてきて、今感じていることはありますか?
こうして「いちごバター」をつくったことで、オフシーズンも収入が得られるという安心感はありますね。
ただ、ゼリーのときに「いくらおいしいものをつくっても、つくっただけでは売れない」というのを痛感しました。

でも、私たちは「つくる」ことは得意でも、「売る」方法を知らないので、プロの分析とか、アイデアとか提案はとてもありがたかったし、一緒に考えていけるのが心強かったです。
逆に言うと、おいしくなくても売れちゃうんですよね。
そうそう。
世の中には、そこそこの味でも大人気のものがたくさんあるので、
そこにブランディングの強さがあるなあ、と痛感しています。
そう考えると、購買意欲を掻き立てるもの、お客様を惹きつけるのは、
中身ではないかもしれない、とも思えてくる…。
なるほど…。
僕らは、おいしいものをつくることが本業です。
あとは一度来てくださった方や、食べてくださった方に、
もう一度リピートしてもらうことも得意です。
そこに必要なのは「知ってもらえるきっかけ」。
そのきっかけさえあればその後は繋がっていく自信がありますし、見た目も味もよかったら最強!

今回のリニューアルでは、そういうきっかけをつくってもらえたんだと思います。
僕らには「やりたいこと」はあるし、「つくる」ことはできるんですよね。
でも、アイデアやセンスはないし、自分たちで考えてやってみてもいいけれど、
それがいいかどうかの判断もできない。

自分たちでいいと思ってても、簡単には届かないからこそ、
デザインのプロから意見をいただいて、一緒につくっていけるのはありがたかったです。
やりたいことを聞いてもらって、こうやって道筋を立ててもらえると、
確信を持って納得して進められるしね。
そうそう。
農業ってとても薄利なので、しっかりとコストをかけてブランディングをするというのは、
ハードルが高めだとは思います。

でも、かけるべきところにかけないと変わっていかないので、僕は今回いろいろリニューアルしてみて、今後のために「かけるべきコストだった」と満足しています。
人は一瞬の印象でいろんなことを選んでいます。
その一瞬をつくるのがブランディングの力なのかなと思っています。

実際に食べるきっかけ、いちご狩りに来るきっかけをブランディングでつくることができれば、
私たちは「また来たい」「もう一度食べたい」って思ってもらうことに注力できるんですよね。

これからもお客様のために何ができるか考えながら、長く園を続けていきたいと思います。
このプロジェクトを通して、
コムデザインラボと共に誕生した商品ブランド
『わたしのいちご』は以下より購入可能です。
その世界観をぜひ一度ご覧ください。
わたしのいちごわたしのいちご
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