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愛知県大府市の農家 大府南いちごファーム インタビュー

No.07
大府南いちごファーム
Strawberry farm in Obu minami
話し手
owner
話し手
大府南いちごファーム
オーナー夫妻
大嶋 厚徳・優子
厚徳さんが40才のときに「何か起業したい」という思いで脱サラし、就農研修、大手いちご狩り園での修業を経て、2012年に「大府南いちごファーム」を開業。厚徳さんが主に栽培を、優子さんはいちご狩りの接客のほか、ファームオリジナルのゼリー作りも担当。
聞き手
interviewer
聞き手
ライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するコピーライター・編集者。情報誌の編集・印刷媒体の企画を経験したのち独立。2015年には工業デザイナーの夫と「株式会社COMULA」をスタートし、自社オリジナルブランド「句具」の運営も行う。いちごが大好きな3才と5才の男児の母。
#07-2

お客様に喜んでもらえる、
おもてなしの園に

いちご栽培や、いちご狩りを楽しんでいただくにあたって、大嶋さんがこだわっていることや大切にしていることを教えてください。
おいしいいちごを育てるためには、まずは環境を整えることがとても大切です。

光合成量を増やすこと、水分率を適切な状態に保つなど、栽培において大切なことは数えきれないほどありますし、ここではお話できない企業秘密もありますが、

例えば三角屋根で光を取り込みやすくしたことや、遮光カーテンを導入している点もこだわりです。
あと、うちのハウスでは、水を霧状に噴射するミストシステムで、ハウス内を最適な湿度にしています。
いちご狩りには何度か行ったことがありますが、ミストが出ているハウスって初めてかもしれません。
あまりないと思います。
けっこうコストもかかりますしね。
温度の高いハウス内なので、ミストがとても気持ちよかったです。
畑にいるんだなあ、という実感も。
いちごの栽培のためにミストを入れているのは前提なんですが、
後藤さんのその感覚もとても大切にしています。
完熟のいちごが並んでいるだけの園よりも、
ここですくすくいちごが育っているんだ」という実感も、ハウスの雰囲気や環境から感じられるといいな、と思って導入している部分もあります。
なるほど。確かに、リアリティや臨場感がある感じ、わかります!
優子さんも、栽培に携わってるんですか?
私がかかわれるのは、栽培の後半と、いちご狩りの運営の部分です。

実がなってくると、いちごもだんだん強くなってくるので私も手伝えるんですが、
苗を植えて土をつくって…という序盤の段階は、とても繊細な作業なので、触らせてもらえません(笑)。
そうなんですよ。
いちごって本当に繊細で、ちょっとしたことで失敗したり、出来が悪くなったりするので、
無事に花をつけて実がなるまでは、僕一人で担当してます。

毎日いちごの機嫌を見ながら、環境を調整しながら…という地道な作業です。
いちご狩りの料金、ハイシーズンでも大人ひとり1800円、
安いときだと1500円や1200円と、とてもお値打ちで驚きました。
たとえば、3世代とか大人数で来てくださって、おばあちゃんが全員分の代金を払ってくれたりすることって多いんですが、大人数だと1万円とか、1万5000円とかになっちゃうんですよね。
「高いな〜」と、常々思っていて…。
確かにまとめると高額ですけど、一人2000円切るいちご狩りをあまり見たことがないので、
相場に比べるとかなりお値打ちかと…!
だって1万円っていったら、ご家族で外食できちゃいますよ。

そんな大金使って、うちでいちご狩りを楽しんでくださるのって本当に嬉しいし、ありがたいです。
利益云々よりもまずは、可能な限りお値打ちにして、できる限りサービスも充実させて、
お客様に「来てよかった」と満足してもらえるようないちご狩り園にしたいと思っています。
具体的には、どんなことに気を配っているんですか?
小さなことですが、上着を置いておく場所がないので荷物入れのカゴをグループごとにお渡ししたり、おしぼりを配布したりとか。

おしぼりも、新幹線のグリーン車で出ているのと同じ、布みたいなしっかりとした使い心地の、
厚手の紙おしぼりにこだわっています。お客様も喜んでくださって嬉しいです。
練乳は、以前は無料で配っていたんですが、
感染対策で個別販売に切り替えざるを得なくなったのですが、そんなところで利益が出るのは嫌なので、仕入れ値と同額くらいで販売しちゃったりとか…。
満足度を上げようと思うと、どうしてもコストがかかるんですが、この人、「なんでもいい」ってのが嫌みたいで(笑)。
せっかくうちに来てくれたからには、絶対に損はさせたくないし、満足してほしいので。
ついつい、あれもこれも手を出しちゃうんですよね(笑)。
さすが「おもてなしのいちご園」ですね。
オリジナルの加工品の展開もありますよね。そもそも、商品開発に踏み込んだきっかけは?
2019年に一度、トラブルで苗が枯れてしまったことがあって。
B品のいちごが出てしまったのがきっかけで、このいちごをなんとかしないと!と、
加工品開発を考え始めました。

6次産業化のプロデュースやレシピ開発をされている東京のパティシエさんと一緒に、
まずはいちごのゼリーをつくることにしました。
当初は、販売戦略的に「いちごプリン」を勧められたんですが、どうもしっくりこなくて。
いちごらしさが際立つのは、プリンよりもゼリー。

ただ、「ゼリーは清涼感があって春夏がメインなので、閑散期との相性が良くないですよ」とアドバイスをいただいて…。
「プリンの方が嗜好性が高いし買いやすいし、保存もきくし、販売が見込めます」と
教えていただいたんですが、自分たちが本当に良いと思ったものしか作りたくない、
という思いの方がずっと強くて、「それでもいいからゼリーをつくりたい」と、最終的にはゼリーをつくることにしました。
完熟いちごがごろっと入った炭酸ゼリーで、プレーン・パンナコッタ・チョコの3種類です。
層になっていて、パンナコッタとチョコはかき混ぜて、召し上がっていただくのがおすすめです。
ゼリーは、今どこで作って、どこで販売してるんですか?
一緒に開発したパティシエさんからレシピを引き継いで、私が厨房でつくっています。

ただ、一度に作れる量は限られてますし、大きく宣伝をしているわけでもないので、そんなにたくさんは売れなくて。
いちご狩りに来た方がたまに買ってくれる、という感じです。
素材にも味にもこだわって開発したので、
本当においしい、納得のいくものができたことは満足しています。

ですが、フレッシュないちごを使っているので販売期と繁忙期と重なっているのもありましたし、製造数も販売数も少なく、賞味期限も短かったので、「次の一手は、通販で売れるものにしよう」と、動き出して誕生したのが、次の「いちごバター」なんです。
このプロジェクトを通して、
コムデザインラボと共に誕生した商品ブランド
『わたしのいちご』は以下より購入可能です。
その世界観をぜひ一度ご覧ください。
わたしのいちごわたしのいちご
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