名古屋・東京の空間ブランディング・店舗デザイン事務所 コムデザインラボ

長野県安曇野市のパン屋 あづみのるベーカリー インタビュー

No.06
あづみのるベーカリー
Bakery in Azumino Nagano
話し手
owner
話し手
あづみのるベーカリー
オーナー夫妻
小池 稔・美保
専門学校を卒業後、それぞれ調理や接客など経験を積み、2010年に地元・長野県のベーカリーで出会い、結婚。その後、東京のベーカリーなどで修業を積んだのち、Uターン。自宅の敷地内で「あづみのるベーカリー」をオープンした。稔さんは長野県松本市、美保さんは長野県池田町出身。
聞き手
interviewer
聞き手
ライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するフリーライター。情報誌の編集・印刷媒体の企画などを7年経験したのち独立し、現在ライター9年目に入る。2015年、工業デザイナーの夫と「株式会社COMULA」をスタート。朝はパン派。フランスパンやリュスティックなど、ハード系のパンをワインに合わせるのが好き。
#06-5

パンの楽しみ方の多様性を提案したい

さて、お店のことばかりお聞きしてきましたが、パンについてもぜひ教えてください!
以前、一度お店にお邪魔してパンを購入させていただいたことがあるんですが…。
その節はありがとうございました!
いや、本当にとても美味しかったです。
私もパンはハード系派なんですが、あづみのるベーカリーさんのパンは、噛めば噛むほど甘みが出てくるというか、味わい深くて。
日が経っても美味しかったです。
うちのパンは灰分(*)が多い、石臼挽きの長野県産小麦粉を使っています。
イーストの量を最小限にして、高加水で低温長時間発酵するので、小麦由来の風味や香ばしさが出やすいんです。
後藤さんが言ってくださった「甘み」も、それ由来かと。
なるほど。
でも、それってきっと、とても手間がかかってますよね。
おっしゃる通り、手間はかかりますが、こうやってつくることで、小麦本来の甘みや香りはもちろん、しっとりと口当たり良く焼き上がります。
*灰分…小麦燃焼時に残る無機物。外皮や胚芽部分に多く含まれているミネラル分(カリウム、リン酸、ナトリウムなど)を指す。
灰分が多い粉で作ったパンは、小麦の風味が強くなる。
自家製酵母のパンにも力を入れていらっしゃるんですね!
はい。自家製酵母のパンはこれからもどんどん増やしていきたいと思って、今試作を重ねています。
酵母は生き物なので、本当に扱いが難しいです。
でも、自分の理想とする自家製の酵母で、丁寧にじっくり発酵させて、石窯オーブンで焼き上げることで、外はパリッと香ばしく、中はもっちりと香り高く仕上がりますし、栄養価も高く、日持ちもするんです。
焼きたてがおいしいパンももちろんありますが、
日に日に味わいが増していくパンもうちにはたくさんあるんです。
焼きたてが全てじゃないってことも、うちのパンを通して伝えていけたらなと思っています。
なるほど!
本当に、どれもとてもおいしかったです。毎日食べたい!
ハード系のパンに特化したお店ですが、お客さんの反応はいかがですか?
ハード系のパンが好きな人が、こんなにもいるとは予想外でした。
そう。安曇野にも、ハード系のパンを支持してくれる人がこんなにいてくれたんだ!というのは嬉しい誤算でした。
ここは東京じゃないので、「ハード系が得意なベーカリー」ということを認識してもらったうえで、通ってもらえるようになるまでは、かなり時間がかかるんじゃないか?というのは少し心配していたんです。
でも、結構幅広い年齢層の方に支持していただけて、こちらが逆に驚きました。
「安曇野には、パン屋はたくさんあるけど、ハード系のパンが美味しいところが少ないから嬉しい!」という声も多くて、とても嬉しいです。
それは嬉しいですね。
お店のテーマとしては、ハード系が中心ということと、あとはロゴのところにある「朝が豊かになるパン屋」というのもコンセプトのひとつですか?
はい。
この景色を眺めながら、素敵な朝時間を過ごしてもらえたらいいな、と。
「朝が豊かになるパン屋」というのは誰が考えたんですか?
タカギさんに考えていただきました。
「あづみのるベーカリー」という店名が決まって、ショルダーネームを考えるタイミングで、安曇野市が「朝が好きになる街」っていうのを掲げてるのを知って、それをタカギさんに話したのがきっかけでしたね。
窓からの景色は、朝が一番綺麗ですし。
絶景を見ながら、パンの朝食なんて贅沢だなあと思って、開店時間もちょっと早めの8時に設定しました。
安曇野市のイメージを象徴するロゴマークとタグライン
オープンが早いのは大変そうですけど、お客さんの立場としては嬉しい限りです!
そう言ってもらえると救われますが、実際のところは大変です(笑)。
早朝、何時くらいに起きるんですか?
土日だと、12時半くらい。
!!???
オープンのタイミングで、ある程度パンの種類を揃えておきたいんですよね。
朝イチで来てくださったお客様に、好きなパンを選んで欲しいので。
そうすると、仕込みは夜中の1時には始めないといけなくて…。
12時半起きって…!めちゃくちゃ早いですね。
私、3時とか4時とかを想像して質問しちゃいました、すみません。
確かに早起きは大変ですけど、「8時から開けてもらえると嬉しい」っていうお客さんも多いし、ここで朝早くから朝食が楽しめるのもうちの特色のひとつなので、頑張りたいと思います。
イートインスペースのご利用も多いですか?
予約制のモーニングやランチのほか、購入したパンにドリンクをオーダーして食べて行かれる方も多いです。
ハード系のパンって、食べたことはあっても、楽しみ方までは知られていないので。
楽しみ方?
このパンはこうやってスライスすると美味しいですよ、とか。
ちょっとトースターで焼くと香りが立って美味しいですよ、とか。
こんな具材と合わせて、オープンサンドにすると合いますよ、とか。
狭い店内にイートインスペースを設けたのはそれが目的なんです。
単に塊のパンを売るだけじゃなくて、ちょっとだけ手を加えたりすることで、こんなに美味しい食べ方があるんだ!って知ってもらえるような、そんな提案ができたら、と思っています。
ハード系のパンは、普通の菓子パンや食パンとはちょっと違って、少しの工夫で楽しみ方が2倍にも3倍にも広がるので、それを発信していける店にしたいというのもこの店でやりたいことのひとつです。
お客様の中には「今までこんな食べ方知らなかったけど、美味しくてハマっちゃって、毎朝食べてます」みたいな声もあって。
そう言っていただけると、とても嬉しいです。
パンは、日々味の変化を感じながら、いろんな食べ方に挑戦してみるという楽しみ方もあるので。
そういう意味でも「いつものパン」として食卓に置いておきたくなるようなものを提供できたらいいなと思っています。
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