店のコンセプトは決まってました。
ケーキが「しあわせ行きの切符」で、この店が「駅」。
「このケーキを食べた人が、しあわせ行きの電車に乗れる」っていう、
とても抽象的なコンセプト。
このコンセプトを、フランスに住んでいた時に思いついたということも含めて伝えました。
店舗のデザインに関しては僕は素人なので、特に要望がなかったので。
このコンセプトと一緒に、
「店の中に電車を走らせたい」
「ロゴはエッフェル塔と電車がいい」
ということだけを伝えました。
はい、それだけです。
コンセプトこそありましたが、それ以上、踏み込んでイメージすることができなかったんです。
地下鉄の駅っぽくしたいけど、
駅っぽく空間を設計する、という感覚がどうしても捉えられなくて。
あ、外観は黒っぽいのが好きって言ったかも。
でも伝えたことは、本当にそれくらいです。
そう!
もうこのプレゼンがね、本当にすばらしくて。
「ここまできたか!」って、感動しました。
想像通りを飛び越えて、想像以上!
よくここまでのぼりつめてくれたね、って。
びっくりしました。
もちろん。
あんないい加減な…というか、断片的なイメージを伝えただけで、
ここまで形にしてくれるのか、と。
さすが、プロはすごいな、と、ただ感動しました。
あーこれこれ!
えらい懐かしいもの持って来たね~。だってこれ、すごくない?
こんなん見せられたら、もうどこにも否定する隙き間なんてないでしょ。
実際、否定したい項目も見当たらなかったけど。
細かいところも、自分が言ったことはもちろん、
その前にちょっと話してた、パリのメトロの駅の感じとか、
あのマカロンみたいなカラフルでかわいい数字とか、
そういうのが、ところどころちりばめてあって。
自分の頭の中で描きながらもイメージにできなかった何かが、
そのまま絵になった!って感じでしたね。
いや、僕の頭の中以上かも。
それで、「よし、もうこれでいこう!」って言いました(笑)。
もう実は、いろいろ話をしていく中で、
「プレゼンだけでもさせてください」って高木さんが言ってくれた時には、
「この人にお願いしたい」って、僕の中で8割くらい決まってて。
プレゼンを受けた時に、迷いもなく「この人だ!」って思いました。
高木さんは、自分が求めている人だったと思います。
本当に、おもしろい出会いでした。なつかしいなあ。
でも、ざっくりとしたイメージとコンセプトを伝えただけなのに、
提案してくれたものが、自分の中でピッタリとハマる感じがあったんです。
だからこそ、大切なお店のブランディングをお任せしたいと思ったのもあります。
こう、ガツガツしてるわけじゃないし、
基本、穏やかなんですけど、なんだか、どこか「勢い」を感じるんですよね。
でも、暑苦しい感じではなくて…。
仕事に対する熱意というか、僕ら客に対する、真っ直ぐな姿勢というか…。
それを僕なりに言葉に表すと「穏やかなイケイケ」。