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愛知県安城市のケーキ屋 パティスリーしあわせのえき インタビュー4話

No.01
パティスリー しあわせのえき
Pâtisserie in Sakurai Anjo
話し手
owner
話し手
パティスリーしあわせのえき
小島 悠・峰子 夫妻
安城市出身・在住。専門学校を卒業後、神奈川県の「湘南ガトーアベニュー 葦」に入社。全国各地の名店で修行し、27歳で渡仏。ル・コルトンブルーパリ校を首席で卒業後、フォション、ホテルクリヨン、アルザスの老舗で腕を磨く。2009年、フランス「アルパジョンコンクール」優勝。
聞き手
interviewer
聞き手
ライター
後藤 麻衣子
名古屋・岐阜で活動するフリーライター。情報誌の編集などを7年経験したのち、27歳でフリーに。インタビューをしている時と、おいしいものを食べている時に、この上ない幸せを感じる。よく言われる言葉は「おいしそうに食べるね」。食と旅をこよなく愛する31歳。趣味は、俳句とギター。
#01-4

目指したのは、実は「ケーキ屋っぽくない店」でした

店の中は、駅をイメージしたつくりなんですよね。
店に入ってすぐのトンネルっぽいゲートと、タイルの感じが駅っぽいでしょ。
このタイルが、まさにメトロの駅の中!って感じですね。
フランスの地下鉄でも使われているタイルらしくて。
高木さんが探してきてくれました。
これが、僕がフランスにいた時の、メトロの駅の空気感そのままなんです。
とても気に入っています。
高木さん、この「メトロタイル」を探すのが大変だったって言ってました。
あ、そうなの?
全然知らなかった、そうだったんだ。
あ、これ言っちゃってよかったのかな。
なんだ、高木さん。
全然そういうの、おもてに出さないんだもん。
店作ってる時に、そういうのもっと言ってくれたらいいのに(笑)。
駅みたいな雰囲気、まわりの人の反応はいかがですか?
最初に働いていた「湘南ガトーアベニュー葦」でお世話になったお師匠さんが、
オープンの時に、神奈川からわざわざ来てくださったんです。
その時期に、同じ店で働いてた仲間が4~5人くらい、
ちょうど同じタイミングで店をオープンしてて。

お師匠さんは、ほかの人の店もいくつか見に行ったらしくて、
僕のところへきて、こんなことを言い放ちました。
「ケーキはまだまだだけど、店はお前のとこが一番いい」と。
ケーキの味に関しては、厳しい意見をたくさんいただきましたけど、
「店は一番いい」って言ってくださって。
味のことは置いといて、その言葉がとても嬉しかったですね。
尊敬しているお師匠さんからの言葉なら、尚更うれしいですね。
そうなんです。
「一番、ケーキ屋っぽくなくて、そこがいい」と、言ってくださいました。
「ケーキ屋っぽくない」っていうのは、やっぱり駅っぽいからですかね?
そういう見方もありますが、
業界の中では、「ケーキ屋のあるべき配置」ってあるんですよね。
入ってすぐ焼き菓子があって、少し進むとショーケースがあって…っていう、
一般的な動線というか、「売れる設計」があるみたいで。
だから、ケーキ屋ってどこも同じような感じなんですよ。
確かに。ケーキ屋さんの店内って、似てるところが多いかも。
そう。でもうちにはほとんどない。
逆にそうなりたくなくて、「ケーキ屋をデザインしたことがない人」にお願いしたかったので、
僕としては成功だったと思っています。
うちは、扉をあけたら、すぐに切符を買って、すぐ電車乗れればいいんです。
駅ですから。
なるほど!
おいしい切符買って、しあわせに一直線! ですね。
駅のお話はたくさん聞いたので、次は切符のお話に。
小島さんがケーキづくりで一番こだわっているところはどこですか?
基本的には、今まで教わったことをベースに、
そこに自分らしさをエッセンスとして少し加えたケーキを作りたいと思っています。
だから、どれを取っても、
いままで学んだこととか、フランスで印象に残った味とか、
ひとつひとつのケーキにギュッと思いが詰まっています。
思い入れという面では、プライスカードにも
味だけじゃなくて、ケーキ対する思いが綴られていて、印象的でした。
それぞれのケーキに、それぞれの思いがありますからね。
自分が作りたいものを、楽しく作ることは大切だと思っていますが、
でもやっぱりお客さんありきだから、
お客さんの好みや要望に寄り添ったものを、
日々追究していきたいと思っています。
へぇ。
小島さん、本当にケーキが好きなんですね。
…と思うでしょ?
ケーキ自体はそんなに好きじゃないんですよ。
え!?
ケーキ作るのは好きじゃないんですけど、それより「楽しい」んですよ。
なんでしょうね、この感覚。
上手く説明できないんですが…。
でも、「嫌い」ってのも言い過ぎかな。
好き嫌いで話をしたら、作るよりも食べる方が好き(笑)。
でも、作るのはただ「楽しい」んです。
材料を計量している時にぴったり量れたときも、
生地が焼き上がったときも、できあがったケーキを見るのも、
ショーケースに並んだケーキを眺めるのも、
人が食べてるのを見るのも、どれも「楽しい」んです。
実は細かい作業もあんまり得意じゃないですし…。
え!こんなに繊細な飾り付けなのに?
本当に苦手なんですよ。
でも楽しいからやってる。それだけです。
さ、さすが。職人の回答ですね。
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